風邪を引いてから急に左下の奥歯が痛み出し、親知らずであることがわかりました。
　しかも、神経に接している上横向きに埋まっているため一般歯科では抜歯が困難で、大学病院の口腔外科に紹介状を出されました。
　そこでも、抜歯はかなり難しく、骨を削って歯を何分割かして出すと聞いたのですが、術後はかなり腫れ、痛むそうです。
　私は痛みにかなり弱く、術後の痛みに耐えられるか心配です。
　また、今は抗生剤で腫れは収まっていますが、それでも少し違和感と言うか鈍い痛みを感じます。
　こんな腫れていない状態でも痛みを感じるのに、切開して骨を削った痛みに耐えられるのか不安です。
　また、顎の骨なんて削ってしまって、顎が開かなくなったりしないのでしょうか？
　神経が麻痺するなどの障害については少し説明を受けましたが、顎が開かなくなることはあるのでしょうか？
　私は口が小さく、顎があまり開かず、タダでさえ歯科の治療は辛いです。
　このような抜歯の場合、手術時間は平均してどのくらいかかるのでしょうか？
　また、痛み止めはしっかり効くのでしょうか。
　結婚を控えているので、出産のことも考慮して早めに抜きたいのですが、痛みと障害が不安です。
　長々と申し訳ありませんが、答えていただけると幸いです。
　よろしくお願い致します。

はじめまして。院長の平井 基之と申します。
　お悩み拝見いたしました。
　親知らずの痛み、大変ですよね。
　私も経験があるので、辛さはよく分かります。
　風邪を引いたり、疲れが溜まっていると、全身の抵抗力が下がるため、親知らずの痛みが出る事はおおいです。
　これを炎症の急性転化と言います。
　先ず、親知らずというのは退化傾向にある歯で、最近では正常に生えてこない人がかなりいることは事実です。
　斜めに生えてきたり、半分しか頭が見えてなかったりというのは、本当に多いケースです。
　そういう場合、歯の半分ほどが骨の中に埋まっていることが多いため、最近の親知らずの抜歯では、骨を削る事はよくあることと言って間違いありません。
　骨を削る場合も、なるべく腫れ、痛みが出ないように生理食塩水をかけながら、骨を摩擦熱で熱しないようにゆっくりと行います。
　ですので、そこまで激しい痛みは術後起きないと思います。
　歯を分割して抜いてくるのも、同様の理由からです。
　なるべく骨を削る量を減らして、小さなスペースから抜いてこれるように、幾つかに細かく分割するのです。
　また、術後麻酔が切れないうちに痛み止めを飲んでいただく事で、痛みに対してもかなりコントロール出来ます。
　お口が開きにくい、手術に対して不安がある、という事に関しては、大学病院には「歯科麻酔科」という科がございます。
　全身麻酔ではなく、半分眠ったような状態でリラックスして処置が受けられるようにする「静脈内鎮静法」という特殊な方法を行っている所もございますので、安心して処置が受けられると思います。
　また、静脈に鎮静の薬を入れる際に腫れを抑える薬、痛み止めの薬を同時に入れる事も出来ますので、ご安心下さい。
　大体のケースで、処置にかかる時間は0.5〜1時間程ですが、ケースによりまちまちなので何とも申し上げられませんが、鎮静法により術中の記憶は殆どありませんので、時間の経過は問題ないと思います。
　最近では口腔外科と歯科麻酔科が連携して一つの処置に携わることは珍しい事ではありません。
　高血圧などの基礎疾患を持っていらっしゃる方、歯科恐怖症の方などが安心して処置を受けられるよう、医療は日々進歩しています。
　術後、多少の腫れで口が開きにくくなる事はありますが、腫れが引いてくれば元の通りに開くようになるでしょう。
　一般的に、腫れのピークは術後3日で腫れが完全に引くには一週間ほどかかります。
　結婚式直前や妊娠中にお痛みが出るという事は、ままあることです。
　特に妊娠中は胎児への悪影響を考慮してお薬は殆ど使えないため、そのような事が起きる前に、意を決して抜いてしまう事が最善だと考えます。
　一度、静脈内鎮静法を行っている大学病院を受診なさる事をお勧めいたします。